位置ベクトルで解く内外分と交点

点を係数で表し、二通りの表示を連立する。係数の和が1になる理由と、係数比較が使える条件まで理解する。

この単元の目標
  • 内分・外分を直線のパラメータ表示と結び付け、点の位置を判定できる
  • 一次独立な二つのベクトルを用いて、交点と線分比を求められる
  • 係数和1の意味と、一次独立性が係数比較に必要な理由を説明できる
📑 目次
  1. 点の位置を「始点+移動量」で表す
  2. 内分と外分を同じ式から導く
  3. 係数の和が1とは何を保証するか
  4. 交点では一次独立な二方向の係数を比較する

点の位置を「始点+移動量」で表す

基礎的なベクトル演算を、図形の交点を求める道具に発展させます。原点 OO を固定し、点 A,B,PA,B,P の位置ベクトルをそれぞれ a⃗,b⃗,p⃗\vec a,\vec b,\vec p とします。A≠BA\ne B のとき、直線 ABAB 上の点は、AA から AB→\overrightarrow{AB} の実数倍だけ移動した点として表せます。

p⃗=a⃗+t(b⃗−a⃗)=(1−t)a⃗+tb⃗(t∈R)\vec p=\vec a+t(\vec b-\vec a)=(1-t)\vec a+t\vec b\qquad(t\in\mathbb R)
パラメータ点の位置距離の比
0<t<10<t<1線分ABの内部AP:PB=t:(1−t)AP:PB=t:(1-t)
t=0,1t=0,1それぞれ端点A、B一方の距離が0
t>1t>1Bを越えた延長上AP:PB=t:(t−1)AP:PB=t:(t-1)
t<0t<0Aを越えた延長上AP:PB=(−t):(1−t)AP:PB=(-t):(1-t)

内分と外分を同じ式から導く

🔍 AP:PB = m:n を満たす位置ベクトル(m,nは正)

  1. 内分では距離の和がAB
    t=APAB=mm+nt=\frac{AP}{AB}=\frac{m}{m+n}

    Aから進む割合は、A側の距離APに対応する。

  2. 直線の表示に代入
    p⃗=nm+na⃗+mm+nb⃗\vec p=\frac{n}{m+n}\vec a+\frac{m}{m+n}\vec b

    Aの係数がn、Bの係数がmになる。比の順序と係数の順序に注意。

  3. 外分では有向の移動量を使う
    tt−1=mn⟹t=mm−n(m≠n)\frac{t}{t-1}=\frac{m}{n}\quad\Longrightarrow\quad t=\frac{m}{m-n}\quad(m\ne n)

    外分点ではtとt−1が同符号なので、この商は距離比になる。

  4. 外分の表示
    p⃗=mb⃗−na⃗m−n\vec p=\frac{m\vec b-n\vec a}{m-n}

    m>nならBの外側、m<nならAの外側。m=nの有限な外分点はない。

係数の和が1とは何を保証するか

p⃗=αa⃗+βb⃗+γc⃗\vec p=\alpha\vec a+\beta\vec b+\gamma\vec c の係数和が1なら、原点を変えても同じ点を表します。新原点の旧位置ベクトルを q⃗\vec q とすると、各位置ベクトルから q⃗\vec q を引けばよいからです。この性質をもつ表示をアフィン結合といいます。

α(a⃗−q⃗)+β(b⃗−q⃗)+γ(c⃗−q⃗)=p⃗−(α+β+γ)q⃗=p⃗−q⃗\alpha(\vec a-\vec q)+\beta(\vec b-\vec q)+\gamma(\vec c-\vec q)=\vec p-(\alpha+\beta+\gamma)\vec q=\vec p-\vec q

二点の係数和1の表示は直線を表し、非共線な三点の係数和1の表示はその三点を含む平面を表します。三係数がすべて0以上なら三角形の内部または周上です。ただし、係数和1だけで線分や三角形の内部とは限りません。負の係数も許すと延長方向まで表せます。

交点では一次独立な二方向の係数を比較する

非共線な三点 A,B,CA,B,C を使うときは、原点を AA に置き、u⃗=AB→,v⃗=AC→\vec u=\overrightarrow{AB},\vec v=\overrightarrow{AC} とすると見通しがよくなります。ru⃗+sv⃗=0⃗r\vec u+s\vec v=\vec0 から r=s=0r=s=0 が従うことを一次独立といいます。これにより、同じベクトルの二つの表示の係数が一致します。

xu⃗+yv⃗=x′u⃗+y′v⃗⟹x=x′, y=y′x\vec u+y\vec v=x^{\prime}\vec u+y^{\prime}\vec v\quad\Longrightarrow\quad x=x^{\prime},\ y=y^{\prime}
例題1:内分・外分の符号を座標で確認する

A(1,2),B(7,5)A(1,2),B(7,5) とする。AP:PB=2:1AP:PB=2:1 に内分する点 PP と、AQ:QB=2:1AQ:QB=2:1 に外分する点 QQ を求めよ。

解答・解説

内分は t=2/3t=2/3 より P=A+23(B−A)=(5,4)P=A+\frac23(B-A)=(5,4)。外分は t=2t=2 より Q=A+2(B−A)=(13,8)Q=A+2(B-A)=(13,8)。AP→=(4,2)\overrightarrow{AP}=(4,2) と PB→=(2,1)\overrightarrow{PB}=(2,1) は同方向で長さ比2:1。AQ→=(12,6)\overrightarrow{AQ}=(12,6) と BQ→=(6,3)\overrightarrow{BQ}=(6,3) も長さ比2:1です。QはBを越えた位置にあり、内分と外分を取り違えていないと検算できます。

例題2:二本の線分を別々のパラメータで表す

三角形 ABCABC で、DD は BD:DC=1:2BD:DC=1:2 の内分点、EE は CACA の中点とする。ADAD と BEBE の交点 PP の位置を u⃗=AB→,v⃗=AC→\vec u=\overrightarrow{AB},\vec v=\overrightarrow{AC} で表し、AP:PDAP:PD と BP:PEBP:PE を求めよ。

解答・解説

AD→=23u⃗+13v⃗\overrightarrow{AD}=\frac23\vec u+\frac13\vec v、AE→=12v⃗\overrightarrow{AE}=\frac12\vec v。AD上では AP→=t(23u⃗+13v⃗)\overrightarrow{AP}=t(\frac23\vec u+\frac13\vec v)、BE上では AP→=(1−s)u⃗+s2v⃗\overrightarrow{AP}=(1-s)\vec u+\frac{s}{2}\vec v。一次独立性から 2t/3=1−s, t/3=s/22t/3=1-s,\ t/3=s/2。解くと t=3/4,s=1/2t=3/4,s=1/2 なので AP→=12u⃗+14v⃗\overrightarrow{AP}=\frac12\vec u+\frac14\vec v、AP:PD=3:1AP:PD=3:1、BP:PE=1:1BP:PE=1:1 です。両パラメータが0と1の間なので交点は両線分の内部。任意の原点からは p⃗=14a⃗+12b⃗+14c⃗\vec p=\frac14\vec a+\frac12\vec b+\frac14\vec c となり、係数和も1です。

位置ベクトル a⃗,b⃗,c⃗\vec a,\vec b,\vec c の係数を無条件に三つとも比較してはいけません。平面内の三ベクトルは一次独立ではありません。非共線な三点の係数和1の表示なら、Aを基準に二つの差ベクトルへ直して比較します。また v⃗=2u⃗\vec v=2\vec u のような平行な二ベクトルでも係数比較はできません。
練習:位置・比・交点を往復する
  1. A(2,−1),B(8,5)A(2,-1),B(8,5) に対し、AP:PB=1:2AP:PB=1:2 に外分する点Pを求め、その位置を説明せよ。

    ヒント

    外分のパラメータは t=m/(m−n)t=m/(m-n)。負になる場合もそのまま使う。

    解答・解説

    t=1/(1−2)=−1t=1/(1-2)=-1 より P=A−(B−A)=(−4,−7)P=A-(B-A)=(-4,-7)。Aを越えた延長上です。AP=62,PB=122AP=6\sqrt2,PB=12\sqrt2 なので比は1:2。外分だから常にBの先にある、という判断は誤りです。

  2. 非共線な三点A,B,Cについて、p⃗=12a⃗+32b⃗−c⃗\vec p=\frac12\vec a+\frac32\vec b-\vec c とする。PをAからの二方向で表し、三角形の内部にあるか判定せよ。

    ヒント

    係数和を確認してから p⃗−a⃗\vec p-\vec a を整理する。非共線なら係数和1の表示は一意。

    解答・解説

    係数和は1。AP→=32AB→−AC→\overrightarrow{AP}=\frac32\overrightarrow{AB}-\overrightarrow{AC} です。Cの係数が負なので三角形の外部にあります。係数和1は同じ平面上の点という条件であり、内部を保証しません。

  3. 三角形ABCでDはBCの中点、Eは CE:EA=2:1CE:EA=2:1 の内分点。P=AD∩BEP=AD\cap BE に対し、AP→\overrightarrow{AP} を u⃗=AB→,v⃗=AC→\vec u=\overrightarrow{AB},\vec v=\overrightarrow{AC} で表し、AP:PDAP:PD を求めよ。

    ヒント

    AE→=v⃗/3\overrightarrow{AE}=\vec v/3。AD上の表示とBE上の表示を作る。

    解答・解説

    AP→=t2u⃗+t2v⃗=(1−s)u⃗+s3v⃗\overrightarrow{AP}=\frac t2\vec u+\frac t2\vec v=(1-s)\vec u+\frac s3\vec v。t/2=1−s=s/3t/2=1-s=s/3 より s=3/4,t=1/2s=3/4,t=1/2。したがって AP→=(u⃗+v⃗)/4\overrightarrow{AP}=(\vec u+\vec v)/4、AP:PD=1:1AP:PD=1:1。Eの位置を 2v⃗/32\vec v/3 としないことが大切です。

理解を確かめる

問1. A≠BA\ne B とする。p⃗=−12a⃗+32b⃗\vec p=-\frac12\vec a+\frac32\vec b はどの点か。

問2. xu⃗+yv⃗=2u⃗−v⃗x\vec u+y\vec v=2\vec u-\vec v から必ず x=2,y=−1x=2,y=-1 と結論できる条件はどれか。

📝 メモこの端末のみに保存
メモ欄はページ読み込み後に使えるようになります。