この単元の目標- 内分・外分を直線のパラメータ表示と結び付け、点の位置を判定できる
- 一次独立な二つのベクトルを用いて、交点と線分比を求められる
- 係数和1の意味と、一次独立性が係数比較に必要な理由を説明できる
📑 目次
- 点の位置を「始点+移動量」で表す
- 内分と外分を同じ式から導く
- 係数の和が1とは何を保証するか
- 交点では一次独立な二方向の係数を比較する
点の位置を「始点+移動量」で表す
基礎的なベクトル演算を、図形の交点を求める道具に発展させます。原点 O を固定し、点 A,B,P の位置ベクトルをそれぞれ a,b,p とします。A=B のとき、直線 AB 上の点は、A から AB の実数倍だけ移動した点として表せます。
| パラメータ | 点の位置 | 距離の比 |
|---|
| 0<t<1 | 線分ABの内部 | AP:PB=t:(1−t) |
| t=0,1 | それぞれ端点A、B | 一方の距離が0 |
| t>1 | Bを越えた延長上 | AP:PB=t:(t−1) |
| t<0 | Aを越えた延長上 | AP:PB=(−t):(1−t) |
内分と外分を同じ式から導く
🔍 AP:PB = m:n を満たす位置ベクトル(m,nは正)
- 内分では距離の和がAB
Aから進む割合は、A側の距離APに対応する。
- 直線の表示に代入
Aの係数がn、Bの係数がmになる。比の順序と係数の順序に注意。
- 外分では有向の移動量を使う
外分点ではtとt−1が同符号なので、この商は距離比になる。
- 外分の表示
m>nならBの外側、m<nならAの外側。m=nの有限な外分点はない。
係数の和が1とは何を保証するか
p=αa+βb+γc の係数和が1なら、原点を変えても同じ点を表します。新原点の旧位置ベクトルを q とすると、各位置ベクトルから q を引けばよいからです。この性質をもつ表示をアフィン結合といいます。
二点の係数和1の表示は直線を表し、非共線な三点の係数和1の表示はその三点を含む平面を表します。三係数がすべて0以上なら三角形の内部または周上です。ただし、係数和1だけで線分や三角形の内部とは限りません。負の係数も許すと延長方向まで表せます。
交点では一次独立な二方向の係数を比較する
非共線な三点 A,B,C を使うときは、原点を A に置き、u=AB,v=AC とすると見通しがよくなります。ru+sv=0 から r=s=0 が従うことを一次独立といいます。これにより、同じベクトルの二つの表示の係数が一致します。
例題1:内分・外分の符号を座標で確認する
A(1,2),B(7,5) とする。AP:PB=2:1 に内分する点 P と、AQ:QB=2:1 に外分する点 Q を求めよ。
解答・解説
内分は t=2/3 より P=A+32(B−A)=(5,4)。外分は t=2 より Q=A+2(B−A)=(13,8)。AP=(4,2) と PB=(2,1) は同方向で長さ比2:1。AQ=(12,6) と BQ=(6,3) も長さ比2:1です。QはBを越えた位置にあり、内分と外分を取り違えていないと検算できます。
例題2:二本の線分を別々のパラメータで表す
三角形 ABC で、D は BD:DC=1:2 の内分点、E は CA の中点とする。AD と BE の交点 P の位置を u=AB,v=AC で表し、AP:PD と BP:PE を求めよ。
解答・解説
AD=32u+31v、AE=21v。AD上では AP=t(32u+31v)、BE上では AP=(1−s)u+2sv。一次独立性から 2t/3=1−s, t/3=s/2。解くと t=3/4,s=1/2 なので AP=21u+41v、AP:PD=3:1、BP:PE=1:1 です。両パラメータが0と1の間なので交点は両線分の内部。任意の原点からは p=41a+21b+41c となり、係数和も1です。
位置ベクトル a,b,c の係数を無条件に三つとも比較してはいけません。平面内の三ベクトルは一次独立ではありません。非共線な三点の係数和1の表示なら、Aを基準に二つの差ベクトルへ直して比較します。また v=2u のような平行な二ベクトルでも係数比較はできません。 練習:位置・比・交点を往復する
A(2,−1),B(8,5) に対し、AP:PB=1:2 に外分する点Pを求め、その位置を説明せよ。
ヒント
外分のパラメータは t=m/(m−n)。負になる場合もそのまま使う。
解答・解説
t=1/(1−2)=−1 より P=A−(B−A)=(−4,−7)。Aを越えた延長上です。AP=62,PB=122 なので比は1:2。外分だから常にBの先にある、という判断は誤りです。
非共線な三点A,B,Cについて、p=21a+23b−c とする。PをAからの二方向で表し、三角形の内部にあるか判定せよ。
ヒント
係数和を確認してから p−a を整理する。非共線なら係数和1の表示は一意。
解答・解説
係数和は1。AP=23AB−AC です。Cの係数が負なので三角形の外部にあります。係数和1は同じ平面上の点という条件であり、内部を保証しません。
三角形ABCでDはBCの中点、Eは CE:EA=2:1 の内分点。P=AD∩BE に対し、AP を u=AB,v=AC で表し、AP:PD を求めよ。
ヒント
AE=v/3。AD上の表示とBE上の表示を作る。
解答・解説
AP=2tu+2tv=(1−s)u+3sv。t/2=1−s=s/3 より s=3/4,t=1/2。したがって AP=(u+v)/4、AP:PD=1:1。Eの位置を 2v/3 としないことが大切です。
理解を確かめる
問1. A=B とする。p=−21a+23b はどの点か。
問2. xu+yv=2u−v から必ず x=2,y=−1 と結論できる条件はどれか。