無限等比級数と極限

|r| < 1 で収束する無限等比級数、循環小数の分数化、面積問題への応用。

この単元の目標
  • 無限等比級数の収束条件 |r| < 1 と和の公式を使える
  • 循環小数を無限等比級数として分数に直せる
  • 図形の無限分割の面積・長さを級数の和として求められる
📑 目次
  1. 無限級数の収束
  2. 無限等比級数——なぜ |r| < 1 が必要か
  3. 循環小数は分数だった
  4. 面積問題への応用
  5. 練習問題

無限級数の収束

無限個の数の和は、普通の意味では足せません。そこで「初項から第 n 項までの部分和 SnS_n をまず計算し、n を限りなく大きくしたときの極限」として和を定義します。極限が存在するとき級数は収束するといい、その極限値を級数の和と呼びます。極限が存在しなければ発散です。

∑n=1∞an=lim⁡n→∞Sn(Sn=a1+a2+⋯+an)\sum_{n=1}^{\infty} a_n = \lim_{n \to \infty} S_n \quad (S_n = a_1 + a_2 + \cdots + a_n)

無限等比級数——なぜ |r| < 1 が必要か

🔍 収束条件と和の公式

  1. Step 1: 部分和の公式
    Sn=a1(1−rn)1−r(r≠1)S_n = \dfrac{a_1(1 - r^n)}{1 - r} \qquad (r \ne 1)

    有限項の等比数列の和。ここまでは数学Cの既習内容です。

  2. Step 2: r の場合分けで極限を見る
    lim⁡n→∞rn={0(∣r∣<1)1(r=1)収束しない(∣r∣≥1, r≠1)\lim_{n \to \infty} r^n = \begin{cases} 0 & (|r| < 1) \\ 1 & (r = 1) \\ \text{収束しない} & (|r| \ge 1,\ r \ne 1) \end{cases}

    r = 1 なら各項は一定値 a₁ の繰り返しなので明らかに発散。|r| ≥ 1 では項自体が 0 に向かわないため部分和も集まりません。

  3. Step 3: 収束の場合だけ極限をとる
    ∣r∣<1 ⇒ lim⁡n→∞Sn=a1(1−0)1−r=a11−r|r| < 1 \ \Rightarrow\ \lim_{n \to \infty} S_n = \dfrac{a_1(1 - 0)}{1 - r} = \dfrac{a_1}{1 - r}

    公式が成り立つのは |r| < 1 のときだけ。「無限に足しても有限になる」のは、各項が急速に小さくなるからです。

和の公式 a11−r\dfrac{a_1}{1 - r} を書く前に、必ず「∣r∣<1|r| < 1 だから収束」と一言添えるのが採点上のマナー。条件の確認なしに公式を当てはめるのは典型減点です。

循環小数は分数だった

例題: 0.777… を分数で表せ

0.777…=710+7100+71000+⋯0.777\ldots = \dfrac{7}{10} + \dfrac{7}{100} + \dfrac{7}{1000} + \cdots を無限等比級数とみて分数化せよ。

解答・解説

初項 710\tfrac{7}{10}、公比 110\tfrac{1}{10} で ∣r∣=110<1|r| = \tfrac{1}{10} < 1 より収束。和は 7101−110=\dfrac{\tfrac{7}{10}}{1 - \tfrac{1}{10}} = **79\dfrac{7}{9}**

  • 0.333…=39=130.333\ldots = \dfrac{3}{9} = \dfrac{1}{3}
  • 0.121212…=1299=4330.121212\ldots = \dfrac{12}{99} = \dfrac{4}{33}(循環節 2 桁なら分母 99)
  • 一般に循環節 k 桁の循環小数は、分子=循環節の数字、分母=k 個の 9 という分数になる

面積問題への応用

正方形や線分を「残りの一辺を同じ比率で切り分ける」操作を無限に繰り返す図形問題は、無限等比級数の登竜門です。コツは、第 n 回の操作で付け加わる面積(または長さ)を ana_n とおき、それが公比 r の等比数列になることを示してから和をとること。残りの面積が毎回同じ割合で縮むことを使うと、直接級数を組まなくても答えが出ることもあります。

例題

一辺 1 の正方形を、左半分(幅 12\tfrac{1}{2} の縦長長方形)を残して次々に「右側の残りをまた半分」に塗り分けていく。塗った部分の総面積を求めよ。

解答・解説

塗る面積は 12,14,18,…\dfrac{1}{2}, \dfrac{1}{4}, \dfrac{1}{8}, \ldots で初項 12\tfrac{1}{2}、公比 12\tfrac{1}{2}。よって総面積 =121−12== \dfrac{\tfrac{1}{2}}{1 - \tfrac{1}{2}} = **1(正方形全体)**

練習問題

練習問題
  1. 無限等比級数 ∑n=1∞2(34)n−1\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} 2\left( \dfrac{3}{4} \right)^{n-1} の和を求めよ。

    ヒント

    初項 2、公比 34\tfrac{3}{4}。∣r∣<1|r| < 1 を確認してから公式。

    解答・解説

    21−34=\dfrac{2}{1 - \tfrac{3}{4}} = **8**

  2. 無限等比級数 1+x+x2+⋯1 + x + x^2 + \cdots が収束するとき、x の範囲と和を求めよ。

    ヒント

    収束条件は ∣x∣<1|x| < 1。

    解答・解説

    **−1<x<1-1 < x < 1** のとき収束し、和は **11−x\dfrac{1}{1 - x}**

  3. 循環小数 0.282828…0.282828\ldots を分数で表せ。

    ヒント

    初項 28100\tfrac{28}{100}、公比 1100\tfrac{1}{100} の無限等比級数。

    解答・解説

    281001−1100=2899\dfrac{\tfrac{28}{100}}{1 - \tfrac{1}{100}} = \dfrac{28}{99}

  4. 一辺 1 の正三角形に対し、「残りの図形から相似比 12\tfrac{1}{2} の正三角形を順に取り除く」操作を続けるとき、取り除いた面積の合計を求めよ(元の面積を S とする)。

    ヒント

    取り除く面積は S4,S16,S64,…\tfrac{S}{4}, \tfrac{S}{16}, \tfrac{S}{64}, \ldots(相似な図形の面積比は相似比の 2 乗)。

    解答・解説

    S41−14=\dfrac{\tfrac{S}{4}}{1 - \tfrac{1}{4}} = **S3\dfrac{S}{3}**

確認クイズ

問1. 無限等比級数が収束する条件は?

問2. 0.999…0.999\ldots の値は?

問3. 級数の和を「部分和の極限」として定義する理由は?

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