空間ベクトルと平面の方程式

空間ベクトルの成分・内積から、平面の方程式、2直線のなす角、球の方程式まで。

この単元の目標
  • 空間ベクトルを成分表示で演算し、内積・大きさ・なす角を計算できる
  • 法線ベクトルから平面の方程式 ax + by + cz = d を立てられる
  • 球の方程式を立て、平方完成で中心と半径を求められる
📑 目次
  1. 空間ベクトルの成分と内積
  2. 平面の方程式——成分で立てる
  3. 2直線のなす角
  4. 球の方程式
  5. 練習問題

空間ベクトルの成分と内積

なす角を求める2本のベクトル、直線の方向ベクトル、平面の法線ベクトルはいずれも零ベクトルでないことが前提です。球の半径は r>0r>0 とします。

空間のベクトルは 3 つの実数の組 (a1,a2,a3)(a_1, a_2, a_3) で表します。演算のルールは平面ベクトルとまったく同じで、成分ごとに足し引きするだけです。内積も同様に定義されるので、「なす角を求める」「垂直条件を調べる」という平面の技がそのまま空間で使えます。

∣a⃗∣=a12+a22+a32,a⃗⋅b⃗=a1b1+a2b2+a3b3|\vec{a}| = \sqrt{a_1^2 + a_2^2 + a_3^2}, \qquad \vec{a} \cdot \vec{b} = a_1 b_1 + a_2 b_2 + a_3 b_3
a⃗⊥b⃗  ⟺  a⃗⋅b⃗=0,cos⁡θ=a⃗⋅b⃗∣a⃗∣ ∣b⃗∣\vec{a} \perp \vec{b} \iff \vec{a} \cdot \vec{b} = 0, \qquad \cos\theta = \dfrac{\vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}|\,|\vec{b}|}

平面の方程式——成分で立てる

空間では「直線の代わりに平面」が一次方程式で表されます。平面に垂直なベクトルを法線ベクトルと呼び、平面上の任意の点 X について「X と平面上の定点 A を結ぶベクトルが法線に垂直」という条件を式に書けば平面の方程式になります。外積を使わなくても、成分での内積計算だけで一次方程式 ax+by+cz=dax + by + cz = d が得られるのです。

🔍 法線ベクトルから平面の方程式を導く

  1. Step 1: 垂直条件を書き下す
    n⃗⋅AX→=0\vec{n} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AX}} = 0

    法線 n は平面内のすべてのベクトルに垂直。A(a_0, b_0, c_0) は平面上の定点、X(x, y, z) は動点です。

  2. Step 2: 成分で書く
    (a,b,c)⋅(x−a0, y−b0, z−c0)=0(a, b, c) \cdot (x - a_0,\ y - b_0,\ z - c_0) = 0
  3. Step 3: 展開して整理
    a(x−a0)+b(y−b0)+c(z−c0)=0⟺ax+by+cz=aa0+bb0+cc0a(x - a_0) + b(y - b_0) + c(z - c_0) = 0 \quad \Longleftrightarrow \quad ax + by + cz = aa_0 + bb_0 + cc_0

    右辺は定点 A だけで決まる定数。これを d とおけば平面の方程式 ax + by + cz = d が完成します。

  4. 具体例
    点 (1,2,1)、法線 (2,−1,3):2(x−1)−(y−2)+3(z−1)=0⟺2x−y+3z=3\text{点 } (1, 2, 1) \text{、法線 } (2, -1, 3): \quad 2(x - 1) - (y - 2) + 3(z - 1) = 0 \quad \Longleftrightarrow \quad 2x - y + 3z = 3

    係数は法線ベクトルそのもので、点を代入して右辺の定数を決めるだけです。

2直線のなす角

空間の 2 直線のなす角は、それぞれの方向ベクトルのなす角から求めます。直線の向きはどちら向きでもよい(逆向きも同じ直線)なので、内積が負になっても絶対値をとって鋭角側に合わせます。この「絶対値をとる」処理は試験での落とし穴なので注意しましょう。

cos⁡θ=∣a⃗⋅b⃗∣∣a⃗∣ ∣b⃗∣(0≤θ≤π2)\cos\theta = \dfrac{|\vec{a} \cdot \vec{b}|}{|\vec{a}|\,|\vec{b}|} \qquad (0 \le \theta \le \dfrac{\pi}{2})
例題

方向ベクトルがそれぞれ (1,1,0)(1, 1, 0) と (0,1,1)(0, 1, 1) である 2 直線のなす角を求めよ。

解答・解説

cos⁡θ=∣1⋅0+1⋅1+0⋅1∣22=12\cos\theta = \dfrac{|1 \cdot 0 + 1 \cdot 1 + 0 \cdot 1|}{\sqrt{2} \sqrt{2}} = \dfrac{1}{2} より **θ=60°\theta = 60°**

球の方程式

ここで球の方程式とは、中心からの距離が一定値 r に等しい点の集合(球面)の方程式です。二次式を平方完成すれば中心と半径が読み取れます。中心と平面の距離を d とすると、球面との交わりは d<rd<r なら半径 r2−d2\sqrt{r^2-d^2} の円、d=rd=r なら1点、d>rd>r ならありません。

(x−a)2+(y−b)2+(z−c)2=r2(中心 (a,b,c), 半径 r)(x - a)^2 + (y - b)^2 + (z - c)^2 = r^2 \quad (\text{中心 } (a, b, c), \text{ 半径 } r)
例題

原点を中心とし、点 (1,2,2)(1, 2, 2) を通る球の方程式を求めよ。

解答・解説

半径は r=12+22+22=3r = \sqrt{1^2 + 2^2 + 2^2} = 3。よって **x2+y2+z2=9x^2 + y^2 + z^2 = 9**

図形ベクトルでの条件方程式
平面法線 n⃗=(a,b,c)\vec{n} = (a, b, c) に垂直ax+by+cz=dax + by + cz = d
球(中心 C, 半径 r)∣CX→∣=r|\overrightarrow{\mathrm{CX}}| = r(x−a)2+(y−b)2+(z−c)2=r2(x - a)^2 + (y - b)^2 + (z - c)^2 = r^2
直線(方向 d⃗=(l,m,n)\vec{d} = (l, m, n))AX→=td⃗\overrightarrow{\mathrm{AX}} = t\vec{d}x=a0+lt, y=b0+mt, z=c0+ntx = a_0 + lt,\ y = b_0 + mt,\ z = c_0 + nt

練習問題

練習問題
  1. A(1, 0, 2), B(3, 4, 0) 間の距離を求めよ。

    ヒント

    AB→=(2,4,−2)\overrightarrow{\mathrm{AB}} = (2, 4, -2) の大きさ。

    解答・解説

    ∣AB→∣=22+42+(−2)2=24=|\overrightarrow{\mathrm{AB}}| = \sqrt{2^2 + 4^2 + (-2)^2} = \sqrt{24} = **262\sqrt{6}**

  2. 点 (1, 2, 0) を通り、法線ベクトル (3,−1,2)(3, -1, 2) をもつ平面の方程式を求めよ。

    ヒント

    3(x−1)−(y−2)+2z=03(x - 1) - (y - 2) + 2z = 0 を整理する。

    解答・解説

    **3x−y+2z−1=03x - y + 2z - 1 = 0**

  3. 球 x2+y2+z2−2x+4z=4x^2 + y^2 + z^2 - 2x + 4z = 4 の中心と半径を求めよ。

    ヒント

    x と z について平方完成する。

    解答・解説

    (x−1)2+y2+(z+2)2=4+1+4=9(x - 1)^2 + y^2 + (z + 2)^2 = 4 + 1 + 4 = 9 より中心 **(1, 0, -2)**、半径 **3**

確認クイズ

問1. 平面 ax+by+cz=dax + by + cz = d の法線ベクトルは?

問2. 方向ベクトル u⃗,v⃗\vec{u}, \vec{v} をもつ 2 直線のなす角 θ の余弦は?

問3. 空間の 2 点 A, B に対し ∣AB→∣|\overrightarrow{\mathrm{AB}}| の成分計算は?

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