ベクトルの図形への応用

内分点・重心のベクトル表示、直線の方向・法線ベクトル、点と直線の距離の導出。

この単元の目標
  • 内分点・外分点・重心をベクトル式で表すことができる
  • 直線の方向ベクトル・法線ベクトルを扱い、直線の方程式をベクトルで書くことができる
  • 点と直線の距離の公式を導出し、計算に使うことができる
📑 目次
  1. 内分点・外分点・重心
  2. 直線の方向ベクトルと法線ベクトル
  3. 点と直線の距離——公式の導出
  4. 練習問題

内分点・外分点・重心

内分・外分の比では m,n>0m,n>0 とします。直線の方向ベクトル・法線ベクトルは零ベクトルではありません。一般形の係数は (a,b)≠(0,0)(a,b)\ne(0,0) が前提です。

線分 AB を m:nm : n に内分する点 P は、「AP と PB が同方向で長さの比が m:nm : n」という条件をベクトル方程式に書き直すと求まります。位置ベクトルで表しておけば、座標が変わっても同じ式が使い回せるのが大きな利点です。中点はその特別な場合で、三角形の重心は中点の式を重ねて導けるので、セットで覚えてしまいましょう。

p⃗=na⃗+mb⃗m+n(m:n 内分),g⃗=a⃗+b⃗+c⃗3(重心)\vec{p} = \dfrac{n\vec{a} + m\vec{b}}{m + n} \quad (m : n \text{ 内分}), \qquad \vec{g} = \dfrac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3} \quad (\text{重心})
  • 中点 M: m⃗=a⃗+b⃗2\vec{m} = \dfrac{\vec{a} + \vec{b}}{2}
  • 外分点(m:nm : n 外分、m≠nm \ne n): p⃗=−na⃗+mb⃗m−n\vec{p} = \dfrac{-n\vec{a} + m\vec{b}}{m - n}
  • 重心は各中線を 2:12 : 1 に内分する点。△ABC\triangle\mathrm{ABC} の重心 G は GA→+GB→+GC→=0⃗\overrightarrow{\mathrm{GA}} + \overrightarrow{\mathrm{GB}} + \overrightarrow{\mathrm{GC}} = \vec{0} を満たす

直線の方向ベクトルと法線ベクトル

直線に平行なベクトルを方向ベクトル、直線に垂直なベクトルを法線ベクトルと呼びます。方程式 ax+by+c=0ax + by + c = 0 の係数 (a,b)(a, b) はそのまま法線ベクトルになり、方向ベクトルは成分を入れ替えた (b,−a)(b, -a) で作れます。この対応により、「通過点と方向」「通過点と法線」のどちらの情報からでも直線の方程式が立ちます。

与えられたものベクトルの関係式方程式の形
通過点 A(x1,y1)\mathrm{A}(x_1, y_1) と方向ベクトル d⃗=(l,m)\vec{d} = (l, m)AX→∥d⃗\overrightarrow{\mathrm{AX}} \parallel \vec{d}m(x−x1)−l(y−y1)=0m(x - x_1) - l(y - y_1) = 0
通過点 A(x1,y1)\mathrm{A}(x_1, y_1) と法線ベクトル n⃗=(a,b)\vec{n} = (a, b)AX→⊥n⃗\overrightarrow{\mathrm{AX}} \perp \vec{n}a(x−x1)+b(y−y1)=0a(x - x_1) + b(y - y_1) = 0
一般形 ax+by+c=0ax + by + c = 0法線ベクトルは (a,b)(a, b)方向ベクトルは (b,−a)(b, -a)

点と直線の距離——公式の導出

🔍 点と直線の距離の公式

  1. Step 1: 図の設定
    直線 ax+by+c=0,点 P(x0,y0),d=∣HP→∣\text{直線 } ax + by + c = 0, \quad \text{点 } \mathrm{P}(x_0, y_0), \quad d = |\overrightarrow{\mathrm{HP}}|

    H は P から直線におろした垂線の足。直線上には都合のよい任意の点 Q をとり、法線ベクトルを n⃗=(a,b)\vec{n} = (a, b) とします。

  2. Step 2: 法線方向への射影
    d=∣QP→∣∣cos⁡θ∣=∣n⃗⋅QP→∣∣n⃗∣d = |\overrightarrow{\mathrm{QP}}| |\cos\theta| = \dfrac{|\vec{n} \cdot \overrightarrow{\mathrm{QP}}|}{|\vec{n}|}

    内積の定義 n⃗⋅QP→=∣n⃗∣ ∣QP→∣cos⁡θ\vec{n} \cdot \overrightarrow{\mathrm{QP}} = |\vec{n}|\,|\overrightarrow{\mathrm{QP}}|\cos\theta を変形しました。垂線の長さは、QP を法線の向きに射影した長さそのものです。

  3. Step 3: 内積を成分で展開
    n⃗⋅QP→=(a,b)⋅(x0−x1, y0−y1)=ax0+by0−(ax1+by1)\vec{n} \cdot \overrightarrow{\mathrm{QP}} = (a, b) \cdot (x_0 - x_1,\ y_0 - y_1) = ax_0 + by_0 - (ax_1 + by_1)
  4. Step 4: Q が直線上にある事実を使う
    ax1+by1+c=0⟹ax0+by0−(ax1+by1)=ax0+by0+cax_1 + by_1 + c = 0 \quad \Longrightarrow \quad ax_0 + by_0 - (ax_1 + by_1) = ax_0 + by_0 + c

    ここが最大のポイント。Q は直線上のどんな点でもよいので、Q の座標が消えて P だけの式になります。

  5. 結論
    d=∣ax0+by0+c∣a2+b2d = \dfrac{|ax_0 + by_0 + c|}{\sqrt{a^2 + b^2}}
例題

点 (3,4)(3, 4) と直線 3x+4y−5=03x + 4y - 5 = 0 の距離を求めよ。

解答・解説

d=∣3⋅3+4⋅4−5∣32+42=∣9+16−5∣5=d = \dfrac{|3 \cdot 3 + 4 \cdot 4 - 5|}{\sqrt{3^2 + 4^2}} = \dfrac{|9 + 16 - 5|}{5} = **4**

練習問題

練習問題
  1. A(1, 2), B(6, 7) に対し、線分 AB を 2 : 3 に内分する点 P の座標を求めよ。

    ヒント

    p⃗=3a⃗+2b⃗5\vec{p} = \dfrac{3\vec{a} + 2\vec{b}}{5} を成分で計算する。

    解答・解説

    p⃗=3(1,2)+2(6,7)5=(15,20)5=\vec{p} = \dfrac{3(1, 2) + 2(6, 7)}{5} = \dfrac{(15, 20)}{5} = **(3, 4)**

  2. 原点 O と直線 2x−y+6=02x - y + 6 = 0 の距離を求めよ。

    ヒント

    距離の公式に (x0,y0)=(0,0)(x_0, y_0) = (0, 0) を代入する。

    解答・解説

    d=∣6∣22+(−1)2=65=d = \dfrac{|6|}{\sqrt{2^2 + (-1)^2}} = \dfrac{6}{\sqrt{5}} = **655\dfrac{6\sqrt{5}}{5}**

  3. A(-1, 3), B(2, -2), C(4, 5) を頂点とする三角形の重心 G の座標を求めよ。

    ヒント

    g⃗=a⃗+b⃗+c⃗3\vec{g} = \dfrac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3}。

    解答・解説

    G=(−1+2+43, 3−2+53)=G = \left( \dfrac{-1 + 2 + 4}{3},\ \dfrac{3 - 2 + 5}{3} \right) = **(53, 2)\left( \dfrac{5}{3},\ 2 \right)**

確認クイズ

問1. 線分 AB を m:nm : n に内分する点 P の位置ベクトルは?(A, B の位置ベクトルを a⃗,b⃗\vec{a}, \vec{b} とする)

問2. 直線 3x+2y−6=03x + 2y - 6 = 0 の法線ベクトルは?

問3. 点と直線の距離の導出で、射影方向として用いたベクトルは?

📝 メモこの端末のみに保存
メモ欄はページ読み込み後に使えるようになります。