円に内接する四角形と三角形の五心

内接四角形の「対角の和 = 180°」を円周角の定理から導き、三角形の五心を比較して使い分ける。

この単元の目標
  • 円に内接する四角形の対角の和が 180° になる理由を自分の言葉で説明できる
  • 対角の補関係・外角と内対角の関係を使って角度や面積を求められる
  • 三角形の五心(重心・外心・内心・垂心・傍心)の定義と性質を比較して使い分けられる
📑 目次
  1. 円に内接する四角形
  2. 三角形の五心
  3. 練習問題

円に内接する四角形

4つの頂点がすべて1つの円周上にある四角形を円に内接する四角形(円内接四角形)といいます。この四角形には「向かい合う角の和が 180°」という強い制約があり、これひとつで角度の問題がほぼ解けてしまいます。さらに逆も成り立つので、「4点が同一円周上にある」ことの証明道具としても使えます。

性質内容使いどころ
対角の補関係∠A + ∠C = 180°、∠B + ∠D = 180°残りの角を即座に求める。4点共円の証明
外角と内対角1つの内角の外角は、その内角の向かいの内角に等しい図の中で角の言い換えをする
面積(ブラーマグプタの公式)S=(s−a)(s−b)(s−c)(s−d)S = \sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)}、s=a+b+c+d2s = \frac{a+b+c+d}{2}4辺の長さだけが分かっているときの面積(発展)

🔍 なぜ対角の和が 180° になるのか——円周角の定理からの導出

  1. Step 1: 弧を中心角の大きさで測る
    AB⌢+BC⌢+CD⌢+DA⌢=360°\overset{\frown}{AB} + \overset{\frown}{BC} + \overset{\frown}{CD} + \overset{\frown}{DA} = 360°

    各弧に対応する中心角の和は一周 360° です。以下、弧の名前でその弧の中心角の大きさを表します。

  2. Step 2: 円周角は「見込む弧」の半分
    ∠A=12(BC⌢+CD⌢),∠C=12(DA⌢+AB⌢)\angle A = \frac{1}{2}\left( \overset{\frown}{BC} + \overset{\frown}{CD} \right), \quad \angle C = \frac{1}{2}\left( \overset{\frown}{DA} + \overset{\frown}{AB} \right)

    頂点 A から見込まれるのは A を含まない弧 BCD です。円周角の定理より、円周角はその弧の中心角の半分になります。

  3. Step 3: たし合わせると円周全体が現れる
    ∠A+∠C=12×360°=180°\angle A + \angle C = \frac{1}{2} \times 360° = 180°

    弧 BCD と弧 DAB を合わせると円周全体になります。同様に ∠B + ∠D = 180° も成り立ちます。

  4. Step 4: 逆も使える
    ∠A+∠C=180°⟹四角形 ABCD は円に内接する\angle A + \angle C = 180° \Longrightarrow \text{四角形 ABCD は円に内接する}

    対角の和が 180° なら4点は同一円周上にあります。「この4点は共円」という証明で最強の一手です。

例題

円に内接する四角形 ABCD で ∠B = 75°、∠C = 95° です。∠A と ∠D を求めよ。

解答・解説

対角の補関係より ∠A = 180° − 95° = **85°**、∠D = 180° − 75° = **105°**

三角形の五心

三角形には代表的な「中心」が5つあります。どの直線(線分)の交点として定義されるかがすべてを決め、そこから性質が自動的に導けます。試験では「これはどの心か」を見抜くことが第一歩になるため、定義の言葉遣いを正確に覚えることが最重要です。

心定義(交点)キーとなる性質位置の特徴
重心 G3本の中線AG:GD=2:1AG : GD = 2 : 1、3つの小三角形 △ABG,△BCG,△CAG\triangle ABG, \triangle BCG, \triangle CAG は等積常に内部
外心 O3本の垂直二等分線OA=OB=OCOA = OB = OC(外接円の中心)鋭角なら内部、直角なら斜辺の中点、鈍角なら外部
内心 I3本の内角の二等分線内接円の中心。S=rsS = rs常に内部
垂心 H3本の垂線(高さの直線)∠A = 90° のとき A と一致鋭角なら内部、鈍角なら外部
傍心内角の二等分線1本と外角の二等分線2本傍接円の中心。S=ra(s−a)S = r_a(s - a)常に外部(3か所ある)
  • 「等距離」が出たら: 角の二等分線(内心)か垂直二等分線(外心)。「角の二等分線は2辺に等距離、垂直二等分線は2端点に等距離」
  • 中点・面積の均等分割が出たら: 重心。中線の 2:12 : 1 の比は頻出事実
  • 内接円・接線の長さが出たら: 内心。S=rsS = rs は面積と内接円の半径をつなぐ橋渡し
  • 円に内接する四角形の証明: 対角の和が 180°(または外角=内対角)を示す
例題(五心の見分け)

△ABC で OA = OB = OC となる点 O があるとき、O は何と呼ばれるか。また ∠A = 40° のとき ∠BOC を求めよ。

解答・解説

O は**外心**(外接円の中心)。中心角は同じ弧に対する円周角の2倍なので ∠BOC = 2∠A = **80°**

練習問題

練習問題
  1. 円に内接する四角形 ABCD で ∠A = 68° のとき、∠C を求めよ。

    解答・解説

    対角の補関係より **∠C = 180° − 68° = 112°**

  2. 重心・外心・内心・垂心のうち、「どんな三角形でも必ず内部にある」ものをすべて挙げよ。

    ヒント

    鈍角三角形でそれぞれの位置がどうなるかを考える。

    解答・解説

    **重心と内心**。外心・垂心は鈍角三角形では外部に、直角三角形では辺上に出ます。

  3. 辺が 3, 4, 5 の直角三角形について、S=rsS = rs を使って内接円の半径 r を求めよ。

    ヒント

    s=3+4+52s = \frac{3+4+5}{2}。

    解答・解説

    S=3×42=6S = \frac{3 \times 4}{2} = 6、s=6s = 6 より r=Ss=66=1r = \frac{S}{s} = \frac{6}{6} = 1

  4. 円に内接する四角形の4辺が 3, 4, 5, 6 のとき、面積を求めよ。(発展・ブラーマグプタの公式)

    ヒント

    s=9s = 9。

    解答・解説

    S=(9−3)(9−4)(9−5)(9−6)=6⋅5⋅4⋅3=360=610S = \sqrt{(9-3)(9-4)(9-5)(9-6)} = \sqrt{6 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 3} = \sqrt{360} = 6\sqrt{10}

確認クイズ

問1. 円に内接する四角形の向かい合う角の和は?

問2. 鋭角三角形の外心はどこにある?

問3. 重心 G が中線 AD を分ける比 AG : GD は?

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