三角比と正弦定理・余弦定理

sin・cos・tan を鈍角まで拡張し、三角形の辺と角の計算に使う。

この単元の目標
  • 三角比の相互関係を理解し利用できる
  • 正弦定理・余弦定理を使い分けて三角形の計量ができる
📑 目次
  1. 単位円による三角比の拡張
  2. 正弦定理
  3. 余弦定理
  4. 発展:2つの定理の使い分けと面積公式
  5. 練習問題

単位円による三角比の拡張

直角三角形だけでは扱えなかった 90° をこえる角も、単位円上の点の座標として自然に定義できます。単位円上の点 P の x座標が cos θ、y座標が sin θ です。

θcos θ = x座標sin θ = y座標P第1象限: すべて+第2象限: sinのみ+第3象限: tanのみ+第4象限: cosのみ+
単位円と三角比(θ = 60° の例)と各象限での符号
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プレイグラウンド: θ を動かして sin・cos の符号の変化を確かめよう
sin⁡2θ+cos⁡2θ=1\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1

🔍 なぜ sin²θ + cos²θ = 1 が成り立つのか——単位円からの導出

  1. Step 1: 単位円上の点
    P(cos⁡θ,sin⁡θ)(半径 1)P(\cos\theta, \sin\theta) \quad (\text{半径 } 1)

    原点 O、点 P、そして x 軸への垂線の足 Q を考える。P が座標軸上にある場合は円の方程式で直接確認できる。

  2. Step 2: 三平方の定理を適用
    OP2=OQ2+PQ2OP^2 = OQ^2 + PQ^2

    OP は半径なので 1。長さは負にならないため、OQ = |cos θ|、PQ = |sin θ|。二乗すれば絶対値は外れる。

  3. Step 3: 代入
    12=cos⁡2θ+sin⁡2θ1^2 = \cos^2\theta + \sin^2\theta

    単位円の方程式 x2+y2=1x^2+y^2=1 に座標を代入した等式でもあるため、点が座標軸上にある場合を含めて成立する。

tan⁡θ=sin⁡θcos⁡θ(cos⁡θ≠0)\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta}\quad(\cos\theta\ne0)

正弦定理

asin⁡A=bsin⁡B=csin⁡C=2R\frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} = \frac{c}{\sin C} = 2R

1組の「角とその対辺」がわかっていて、別の角からその対辺を求めるときなどに有効です(R は外接円の半径)。別の辺から角を求める場合は、同じ正弦をもつ鋭角と鈍角の2通りが候補になることにも注意します。

ABCcbaCB正弦定理: 「角」とその「対辺」の組 — 辺 a の対は角 A余弦定理: 2辺とはさむ角から残りの辺・角を求める
三角形の角と対辺の対応、2つの定理の使い分け

余弦定理

a2=b2+c2−2bccos⁡Aa^2 = b^2 + c^2 - 2bc\cos A

🔍 余弦定理の導出——座標平面に置いて三平方を使うだけ

  1. Step 1: 配置を決める
    A(0,0),B(c,0),C(bcos⁡A,bsin⁡A)A(0,0), \quad B(c, 0), \quad C(b\cos A, b\sin A)

    A を原点に、AB を x 軸に沿って置く。AC = b が角 A の方向に伸びるので C の座標はこう書ける(三角比の定義そのもの)。

  2. Step 2: BC の距離を二乗差で計算
    a2=BC2=(bcos⁡A−c)2+(bsin⁡A−0)2a^2 = BC^2 = (b\cos A - c)^2 + (b\sin A - 0)^2

    2点間の距離の公式(実質は三平方の定理)。

  3. Step 3: 展開と整理
    =b2cos⁡2A−2bccos⁡A+c2+b2sin⁡2A= b^2\cos^2 A - 2bc\cos A + c^2 + b^2\sin^2 A
  4. Step 4: sin²+cos² = 1 でまとめる
    a2=b2(cos⁡2A+sin⁡2A)+c2−2bccos⁡A=b2+c2−2bccos⁡Aa^2 = b^2(\cos^2 A + \sin^2 A) + c^2 - 2bc\cos A = b^2 + c^2 - 2bc\cos A

    A = 90° なら cos A = 0 となり、三平方の定理 a2=b2+c2a^2 = b^2+c^2 に戻る——余弦定理は三平方の「鈍角・鋭角への一般化」です。

2辺とそのはさむ角から第3辺を求めるとき、あるいは3辺から角度を求めるときに有効。A = 90° とすると三平方の定理に一致します。

例題

b = 5, c = 8, A = 60° のとき a を求めよ。

解答・解説

a2=25+64−2⋅5⋅8⋅12=89−40=49a^2 = 25 + 64 - 2 \cdot 5 \cdot 8 \cdot \tfrac{1}{2} = 89 - 40 = 49。よって a=7a = 7

発展:2つの定理の使い分けと面積公式

  • わかっている情報が「角 2 個以上」→ 正弦定理(対辺の組をつくれるか確認)
  • わかっている情報が「2辺とはさむ角」「3辺」→ 余弦定理
  • 面積 S=12bcsin⁡AS = \dfrac{1}{2}bc\sin A(はさむ角版の 12×\dfrac{1}{2}\times辺×\times辺×\timessin)
  • 外接円の半径が必要なときは正弦定理の =2R= 2R を逆に使う: R=a2sin⁡AR = \dfrac{a}{2\sin A}
発展例題(面積+余弦定理)

AB = 6, AC = 5, A = 60° の三角形 ABC について、辺 BC の長さと面積を求めよ。

解答・解説

BC2=62+52−2⋅6⋅5cos⁡60°=61−30=31BC^2 = 6^2 + 5^2 - 2 \cdot 6 \cdot 5 \cos 60° = 61 - 30 = 31 より BC=31BC = \sqrt{31}。面積 S=12⋅6⋅5sin⁡60°=1532S = \frac{1}{2} \cdot 6 \cdot 5 \sin 60° = \frac{15\sqrt{3}}{2}

三角比を「回転角 θ で定義する関数(三角関数)」に拡張すると数学IIの内容に、さらに弧度法(ラジアン)を導入すると微積分で本領を発揮します。
第 1 問
三角比を求めよ。 tan⁡120∘\tan 120^\circ

紙に解いてから「答えを見る」で採点しよう。問題は無限に生成できます。

無限ドリル: 特別な角の三角比が出題されます。単位円を思い出して答えよう

練習問題

練習問題
  1. sin⁡θ=35\sin \theta = \dfrac{3}{5}(90°<θ<180°90° < \theta < 180°)のとき cos⁡θ\cos \theta, tan⁡θ\tan \theta を求めよ。

    ヒント

    sin⁡2θ+cos⁡2θ=1\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1。第2象限では cos は負。

    解答・解説

    cos⁡θ=−45\cos\theta = -\frac{4}{5}、tan⁡θ=−34\tan\theta = -\frac{3}{4}

  2. 三角形 ABC で A = 30°, B = 105°, b = 6 のとき a を求めよ。(sin⁡105°=6+24\sin 105° = \dfrac{\sqrt{6} + \sqrt{2}}{4} を使ってよい)

    ヒント

    正弦定理 asin⁡A=bsin⁡B\frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B}。角と対辺の対応(A↔a, B↔b)に注意。

    解答・解説

    a=6⋅1/2(6+2)/4=126+2=3(6−2)a = 6 \cdot \dfrac{1/2}{(\sqrt{6}+\sqrt{2})/4} = \dfrac{12}{\sqrt{6}+\sqrt{2}} = 3(\sqrt{6}-\sqrt{2})

  3. 3 辺が 4, 5, 6 の三角形の最大の角を C とする。cos C を求めよ。

    ヒント

    最大の角は最長辺 6 の対角。余弦定理を cos について解く。

    解答・解説

    cos⁡C=42+52−622⋅4⋅5=540=18\cos C = \frac{4^2 + 5^2 - 6^2}{2 \cdot 4 \cdot 5} = \frac{5}{40} = \frac{1}{8}

  4. AB = 3, BC = 5, CA = 7 の三角形の面積を求めよ。(発展)

    ヒント

    まず余弦定理で cos B(辺 AB・BC にはさまれる角)を求める。

    解答・解説

    cos⁡B=32+52−722⋅3⋅5=−12\cos B = \frac{3^2 + 5^2 - 7^2}{2 \cdot 3 \cdot 5} = -\frac{1}{2} より B=120°B = 120°。S=12⋅AB⋅BCsin⁡B=12⋅3⋅5⋅32=1534S = \frac{1}{2} \cdot AB \cdot BC \sin B = \frac{1}{2} \cdot 3 \cdot 5 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{15\sqrt{3}}{4}

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