微分の応用——接線・法線と速度・加速度

接線・法線の方程式の公式とその由来、位置の関数を微分して速度・加速度を読み取る方法。

この単元の目標
  • 曲線上の指定した点での接線・法線の方程式を求められる
  • 接線の傾きが導関数である理由を平均変化率の極限で説明できる
  • 位置 s(t) から速度・加速度を求め、運動のようすを符号で判定できる
📑 目次
  1. 接線と法線の方程式
  2. 速度と加速度
  3. 練習問題

接線と法線の方程式

曲線 y=f(x)y = f(x) 上の点 (x1,f(x1))(x_1, f(x_1)) における接線の傾きは、微分係数 f′(x1)f'(x_1) です。接線に直交する直線を法線といい、2直線が垂直のとき傾きの積が −1-1 になることを使います。「接線を求めよ」は微分単元の最頻出アプリケーションなので、公式を即座に書けるレベルにしておきましょう。

y=f′(x1)(x−x1)+f(x1)y = f'(x_1)(x - x_1) + f(x_1)
y=−1f′(x1)(x−x1)+f(x1)(f′(x1)≠0)y = -\frac{1}{f'(x_1)}(x - x_1) + f(x_1)\quad(f'(x_1)\ne0)

🔍 接線の公式はどこから来るのか——割線の極限

  1. Step 1: 曲線上の2点を通る直線(割線)
    mPQ=f(x1+h)−f(x1)(x1+h)−x1=f(x1+h)−f(x1)hm_{PQ} = \frac{f(x_1 + h) - f(x_1)}{(x_1 + h) - x_1} = \frac{f(x_1+h) - f(x_1)}{h}

    P(x1,f(x1))(x_1, f(x_1))、Q(x1+h, f(x1+h))(x_1+h,\ f(x_1+h)) を結ぶ直線の傾き=平均変化率です。

  2. Step 2: Q を限りなく P に近づける
    lim⁡h→0f(x1+h)−f(x1)h=f′(x1)\lim_{h \to 0} \frac{f(x_1+h)-f(x_1)}{h} = f'(x_1)

    h → 0 のとき Q は P に重なり、割線は接線に一致します。これが微分係数の定義そのものです。

  3. Step 3: 点と傾きから直線の方程式へ
    y−f(x1)=f′(x1)(x−x1)y - f(x_1) = f'(x_1)(x - x_1)

    「点 (x1,y1)(x_1, y_1) を通り傾き m の直線は y−y1=m(x−x1)y - y_1 = m(x - x_1)」に代入しただけです。

  4. Step 4: 法線の傾き
    f′(x1)⋅m法=−1⟹m法=−1f′(x1)f'(x_1) \cdot m_{\text{法}} = -1 \Longrightarrow m_{\text{法}} = -\frac{1}{f'(x_1)}

    垂直な2直線の傾きの積は −1。ただし f′(x1)=0f'(x_1) = 0 のとき接線は水平で、法線は鉛直 x=x1x = x_1 になります。

直線傾き方程式チェックポイント
接線f′(x1)f'(x_1)y=f′(x1)(x−x1)+f(x1)y = f'(x_1)(x - x_1) + f(x_1)接点の y 座標は f(x1)f(x_1)。代入忘れに注意
法線−1f′(x1)-\dfrac{1}{f'(x_1)}(分母が0でないとき)y=−1f′(x1)(x−x1)+f(x1)y = -\dfrac{1}{f'(x_1)}(x - x_1) + f(x_1)f′(x1)=0f'(x_1) = 0 なら法線は x=x1x = x_1

速度と加速度

直線上を動く点の時刻 t における位置を s(t)s(t) とおくと、速度は位置の微分係数、加速度は速度の微分係数です。微分は「変化の割合」を取り出す操作なので、位置 → 速度 → 加速度と微分を重ねるたびに一段「変化の変化」へ進みます。符号の読み取り(正方向・負方向・折り返し)までセットで押さえましょう。

v=dsdt,a=dvdt=d2sdt2v = \frac{ds}{dt}, \qquad a = \frac{dv}{dt} = \frac{d^2 s}{dt^2}
量意味求め方単位の例
位置 s(t)s(t)基準点からの符号つき距離―(問題で与えられる)m
速度 v(t)v(t)位置の変化の割合s(t)s(t) を微分m/s
加速度 a(t)a(t)速度の変化の割合v(t)v(t) を微分(ss を2回微分)m/s²
  • v>0v > 0: 正の向きに進む/v<0v < 0: 負の向きに進む
  • v=0v = 0: 一瞬止まっている。折り返し点の候補(前後で v の符号が変われば本当に折り返す)
  • vv と aa が同符号 → 速くなる。異符号 → 遅くなる
例題

点 P は直線上を s=t3−6t2+9ts = t^3 - 6t^2 + 9t (t≥0t \ge 0) で表される位置を動く。(1) 速度 v(t)v(t) を求めよ。(2) P が最初に折り返す時刻と、そのときの位置を求めよ。

解答・解説

(1) v(t)=3t2−12t+9=3(t−1)(t−3)v(t) = 3t^2 - 12t + 9 = 3(t-1)(t-3)。(2) v=0v = 0 となるのは t=1,3t = 1, 3。0<t<10 < t < 1 で v>0v > 0、1<t<31 < t < 3 で v<0v < 0 なので最初の折り返しは **t=1t = 1**、そのときの位置は **s(1)=1−6+9=4s(1) = 1 - 6 + 9 = 4**

練習問題

練習問題
  1. 放物線 y=x2y = x^2 上の点 (1,1)(1, 1) における接線と法線の方程式を求めよ。

    解答・解説

    傾きは y′=2xy' = 2x より 22。接線は **y=2x−1y = 2x - 1**、法線は傾き −12-\frac{1}{2} で **y=−12x+32y = -\frac{1}{2}x + \frac{3}{2}**

  2. 曲線 y=x3−3xy = x^3 - 3x の傾きが 9 である接線をすべて求めよ。(発展)

    ヒント

    3x2−3=93x^2 - 3 = 9 となる接点の x 座標を探す。

    解答・解説

    3x2−3=93x^2 - 3 = 9 より x=±2x = \pm 2。接点は (2,2)(2, 2) と (−2,−2)(-2, -2) なので **y=9x−16y = 9x - 16** と **y=9x+16y = 9x + 16**

  3. 位置 s=t3−6t2+9ts = t^3 - 6t^2 + 9t (t≥0t \ge 0) で動く点について、加速度 a(t)a(t) を求め、t=1t = 1 の直前と直後で速さがどう変化するか答えよ。

    ヒント

    t=1 では速度は0。前後で速度と加速度の符号を比較する。

    解答・解説

    v(t)=3(t−1)(t−3)v(t)=3(t-1)(t-3)、a(t)=6t−12a(t)=6t-12。t=1t=1 では v=0v=0、a=−6a=-6。直前の 0<t<10<t<1 では v>0,a<0v>0,a<0 なので速さは減少し、直後の 1<t<21<t<2 では v<0,a<0v<0,a<0 なので速さは増加する。t=1 で停止して折り返すため、その瞬間を単純に「減速中」とは扱わない。

  4. 速度が v(t)=t2−4t+3v(t) = t^2 - 4t + 3 (0≤t≤30 \le t \le 3) のとき、点が負の向きに動いている時間帯を求めよ。

    ヒント

    v<0v < 0 となる tt の範囲。

    解答・解説

    v=(t−1)(t−3)v = (t-1)(t-3) より **1<t<31 < t < 3** で負の向きに動く

確認クイズ

問1. 曲線上の点での法線の傾きは(f′(x1)≠0f'(x_1) \ne 0 のとき)?

問2. 位置 s(t)s(t) を2回微分すると何が得られる?

問3. 速度 v(t)>0v(t) > 0 が意味することは?

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