対数方程式・不等式と常用対数の応用

真数条件を出発点に対数を扱い、底の単調性・底変換・常用対数を用いて方程式や桁数の問題を解く。

この単元の目標
  • 真数条件を明示し、対数の性質を使って対数方程式・不等式を解ける。
  • 底変換公式を導き、異なる底の対数や指数方程式の計算に使える。
  • 常用対数を用いて整数の桁数や増加量が基準を超える時点を求められる。
📑 目次
  1. 1.対数は「何乗か」を答える数
  2. 2.底変換:使いやすい底に統一する
  3. 3.方程式と不等式:条件を最後まで残す
  4. 4.常用対数で桁数と到達時点を調べる

1.対数は「何乗か」を答える数

a>0a>0、a≠1a\ne1 のとき、ay=Ma^y=M を満たす指数 yy を log⁡aM\log_a M と書きます。指数関数の値は正なので、真数 $M$ は必ず正です。log⁡a0\log_a0 や負の数の対数は、この教材で扱う実数の範囲では定義されません。

log⁡aM=y  ⟺  ay=M(a>0, a≠1, M>0)\log_a M=y\iff a^y=M\qquad(a>0,\ a\ne1,\ M>0)

対数の和・差・係数は真数の積・商・累乗に対応します。例えば M=au,N=avM=a^u,N=a^v と書くと MN=au+vMN=a^{u+v} なので log⁡a(MN)=u+v\log_a(MN)=u+v です。単なる記号の暗記ではなく指数法則の言い換えと捉えましょう。

log⁡aM+log⁡aN=log⁡a(MN),log⁡aM−log⁡aN=log⁡aMN,log⁡a(Mr)=rlog⁡aM\log_a M+\log_a N=\log_a(MN),\quad \log_a M-\log_a N=\log_a\frac MN,\quad \log_a(M^r)=r\log_a M
上の公式は M>0,N>0M>0,N>0 の下で使います。log⁡a(x−1)+log⁡a(x−3)\log_a(x-1)+\log_a(x-3) の条件は x>3x>3 です。まとめた積 (x−1)(x−3)>0(x-1)(x-3)>0 だけでは、元の2つの真数がともに負の場合まで含めてしまいます。

2.底変換:使いやすい底に統一する

🔍 導出:底変換公式は指数表示から得られる

  1. 求めたい対数を文字で置く
    y=log⁡aM⟹M=ayy=\log_a M\quad\Longrightarrow\quad M=a^y

    a>0,a≠1,M>0a>0,a\ne1,M>0 とし、新しい底 bb も b>0,b≠1b>0,b\ne1 を満たすものとします。

  2. 両辺の底 b の対数を取る
    log⁡bM=log⁡b(ay)=ylog⁡ba\log_b M=\log_b(a^y)=y\log_b a

    対数の累乗の性質により、指数 yy を前へ出せます。

  3. ゼロでない対数で割る
    log⁡aM=log⁡bMlog⁡ba\boxed{\log_a M=\frac{\log_b M}{\log_b a}}

    a≠1a\ne1 より log⁡ba≠0\log_b a\ne0。分母は「元の底の対数」、分子は「真数の対数」です。

例えば log⁡48=log⁡28/log⁡24=3/2\log_4 8=\log_2 8/\log_2 4=3/2。分母と分子を逆にしないようにします。また 32x−1=73^{2x-1}=7 のように簡単には底がそろわない指数方程式も、2x−1=log⁡372x-1=\log_3 7 より x=(1+log⁡37)/2≈1.3856x=(1+\log_3 7)/2\approx1.3856 と表せます。

3.方程式と不等式:条件を最後まで残す

同じ底の対数が等しければ真数は等しくなります。不等式では a>1a>1 なら真数の大小をそのまま比較し、0<a<10<a<1 なら逆向きに比較します。これは対数が指数関数の対応を逆に読み取る関数だからです。比較の前にも後にも真数条件を保ちます。

例題1:真数条件で余分な候補を除く

log⁡2(x−1)+log⁡2(x−3)=3\log_2(x-1)+\log_2(x-3)=3 を解きなさい。

解答・解説

まず x−1>0,x−3>0x-1>0,x-3>0 より **x>3x>3**。対数をまとめると log⁡2((x−1)(x−3))=3\log_2((x-1)(x-3))=3、よって (x−1)(x−3)=8(x-1)(x-3)=8。x2−4x−5=(x−5)(x+1)=0x^2-4x-5=(x-5)(x+1)=0 から x=5,−1x=5,-1 ですが、条件を満たすのは **x=5x=5** のみです。元の式でも log⁡24+log⁡22=2+1=3\log_2 4+\log_2 2=2+1=3。x=−1x=-1 では2つの真数が負になり不適です。

例題2:減少する対数関数の不等式

log⁡1/2(x+1)≥−2\log_{1/2}(x+1)\ge-2 を解きなさい。

解答・解説

真数条件は x>−1x>-1。−2=log⁡1/24-2=\log_{1/2}4 と書き、底が1未満なので x+1≤4x+1\le4 と逆向きに比較します。条件と合わせて **−1<x≤3-1<x\le3**。x=3x=3 では対数は −2-2、x=0x=0 では0で条件を満たします。x=−1x=-1 は真数0となるため、等号を付けられません。

4.常用対数で桁数と到達時点を調べる

底10の対数を常用対数といいます。正の整数 NN が dd 桁であることは 10d−1≤N<10d10^{d-1}\le N<10^d と同じです。底10は増加するので、対数を取ると d−1≤log⁡10N<dd-1\le\log_{10}N<d。つまり常用対数の整数部分に1を足せば桁数になります。

d=⌊log⁡10N⌋+1(N は正の整数)d=\lfloor\log_{10}N\rfloor+1\qquad(N\text{ は正の整数})

⌊u⌋\lfloor u\rfloor は uu 以下の最大の整数です。log⁡102≈0.30103\log_{10}2\approx0.30103 を使うと log⁡10(230)≈9.0309\log_{10}(2^{30})\approx9.0309 なので 2302^{30} は10桁です。実際に 230=10737418242^{30}=1073741824。N=1000N=1000 なら対数はちょうど3で、桁数は4です。上側の不等号が厳密な << であることが重要です。

応用として、初め1だった量が1回ごとに2倍になるとします。1000を初めて超える回数 nn は、2n>10002^n>1000 より n>3/log⁡102≈9.9658n>3/\log_{10}2\approx9.9658。nn は整数なので最小は10回です。実際に 29=512<1000<1024=2102^9=512<1000<1024=2^{10}。近似値だけで境界を断定せず、前後の整数で検算すると確実です。

よくある誤解:log⁡a(M+N)\log_a(M+N) は log⁡aM+log⁡aN\log_a M+\log_a N ではありません。また対数を取った結果が負でも誤りではありません。例えば log⁡100.01=−2\log_{10}0.01=-2 です。必要なのは「真数が正」であって「対数の値が正」ではありません。常用対数を丸めた値が整数に近いときは桁数の判定にも追加の精度が必要です。
練習:真数条件・単調性・桁数
  1. log⁡3(x−2)+log⁡3x=1\log_3(x-2)+\log_3 x=1 を解きなさい。

    ヒント

    まず x>2x>2。和を積の対数にして二次方程式へ。

    解答・解説

    x>2x>2 の下で x(x−2)=3x(x-2)=3、すなわち (x−3)(x+1)=0(x-3)(x+1)=0。候補 3,−13,-1 のうち **x=3x=3** のみです。log⁡31+log⁡33=1\log_3 1+\log_3 3=1 と検算できます。

  2. log⁡2(3−x)>1\log_2(3-x)>1 を解きなさい。

    ヒント

    真数条件を書き、1=log⁡221=\log_2 2 として真数を比較する。

    解答・解説

    真数条件は x<3x<3。底2は増加するので 3−x>23-x>2、よって x<1x<1。条件との共通範囲も **x<1x<1** です。x=1x=1 では左辺1であり、等号は含みません。

  3. log⁡107≈0.84510\log_{10}7\approx0.84510 として 7107^{10} の桁数を求めなさい。

    ヒント

    常用対数を取って指数10を前に出し、隣り合う整数で挟む。

    解答・解説

    log⁡10(710)≈8.4510\log_{10}(7^{10})\approx8.4510 より 8<log⁡10(710)<98<\log_{10}(7^{10})<9。したがって **9桁** です。実際に 710=2824752497^{10}=282475249 で確認できます。

確認クイズ:底変換と定義域

問1. log⁡84\log_8 4 の値は?

問2. log⁡2(x−1)+log⁡2(x+1)\log_2(x-1)+\log_2(x+1) の真数条件は?

📝 メモこの端末のみに保存
メモ欄はページ読み込み後に使えるようになります。