指数の拡張と指数方程式・不等式

分数・実数の指数へ拡張する意味を理解し、底をそろえる方法と正の変数への置換で方程式・不等式を解く。

この単元の目標
  • 指数法則が保たれるように、零・負・分数の指数を定義して計算できる。
  • 底をそろえる方法と t = a^x > 0 の置換で指数方程式を解ける。
  • 底が1より大きい場合と1未満の場合の単調性を区別して指数不等式を解ける。
📑 目次
  1. 1.掛け算の回数から実数の指数へ
  2. 2.底と単調性:同じ底なら指数を比べる
  3. 3.置換するときは t > 0 を必ず付ける

1.掛け算の回数から実数の指数へ

自然数の指数では a3=a⋅a⋅aa^3=a\cdot a\cdot a でした。しかし a0a^0 や a1/2a^{1/2} を「掛ける回数」と解釈することはできません。そこで、すでに知っている指数法則が壊れないように意味を広げます。この教材では底は正、すなわち a>0a>0 とします。

aras=ar+s,aras=ar−s,(ar)s=arsa^r a^s=a^{r+s},\qquad \frac{a^r}{a^s}=a^{r-s},\qquad (a^r)^s=a^{rs}

🔍 導出:指数法則から零・負・分数の指数を決める

  1. 零の指数は割り算から決まる
    a0=an−n=anan=1a^0=a^{n-n}=\frac{a^n}{a^n}=1

    a>0a>0 なので割り算ができます。a0a^0 は0ではありません。

  2. 負の指数は逆数になる
    a−n=a0−n=1ana^{-n}=a^{0-n}=\frac{1}{a^n}

    指数の負号は値を負にするのではなく、逆数を表します。

  3. 分数の指数は正の累乗根で決める
    (a1/n)n=a,am/n=(an)m(m∈Z, n∈N)(a^{1/n})^n=a,\qquad a^{m/n}=(\sqrt[n]{a})^m\quad(m\in\mathbb{Z},\ n\in\mathbb{N})

    nn は正の整数です。正の nn 乗根を選ぶので、am/na^{m/n} も正です。例えば 82/3=(83)2=48^{2/3}=(\sqrt[3]{8})^2=4 となります。

無理数の指数は、それに近づく有理数の指数による値を使って、途切れなくつながるように定めます。例えば 222^{\sqrt{2}} は 21.4,21.41,21.414,…2^{1.4},2^{1.41},2^{1.414},\ldots の値から考えられます。厳密な構成は先の学習に譲り、数学IIでは実数の指数にも指数法則が成り立つことを使います。

2.底と単調性:同じ底なら指数を比べる

a>1a>1 なら指数が大きいほど値は大きくなり、0<a<10<a<1 なら指数が大きいほど値は小さくなります。実際、v>uv>u のとき av=auav−ua^v=a^u a^{v-u} です。av−ua^{v-u} が1より大きいか小さいかで増減が決まります。

底の範囲等式の比較不等式の比較
a>1a>1au=av  ⟺  u=va^u=a^v \iff u=vau>av  ⟺  u>va^u>a^v \iff u>v
0<a<10<a<1au=av  ⟺  u=va^u=a^v \iff u=vau>av  ⟺  u<va^u>a^v \iff u<v
a=1a=1すべての指数で値は1指数の大小は判定できない

例えば 4x=84^x=8 は 22x=232^{2x}=2^3 なので 2x=32x=3、よって x=3/2x=3/2 です。「指数同士を等しくする」のは、底をそろえ、その底が1でないと確かめた後に行います。2x=3x2^x=3^x から単に指数を比較することはできません。

3.置換するときは t > 0 を必ず付ける

a2x=(ax)2a^{2x}=(a^x)^2 なので、a2xa^{2x} と axa^x が混在する式は t=axt=a^x と置けば二次式になります。ただし指数関数の値は必ず正です。二次方程式で得た tt の候補から t≤0t\le0 を除き、最後に ax=ta^x=t を解いて元の文字へ戻します。

例題1:負の候補を捨てる指数方程式

4x−3⋅2x−4=04^x-3\cdot2^x-4=0 を解きなさい。

解答・解説

4x=(2x)24^x=(2^x)^2 より t=2x>0t=2^x>0 と置くと、t2−3t−4=(t−4)(t+1)=0t^2-3t-4=(t-4)(t+1)=0。候補は t=4,−1t=4,-1 ですが、t>0t>0 より t=4t=4 のみです。2x=4=222^x=4=2^2 から **x=2x=2**。検算すると 42−3⋅22−4=16−12−4=04^2-3\cdot2^2-4=16-12-4=0 です。t=−1t=-1 に対応する実数 xx はありません。

例題2:底が1未満の指数不等式

(12)2x−1≥8\left(\frac12\right)^{2x-1}\ge8 を解きなさい。

解答・解説

8=(1/2)−38=(1/2)^{-3} と底をそろえます。底 1/21/2 は1未満なので 2x−1≤−32x-1\le-3 と不等号を逆向きにして、**x≤−1x\le-1**。境界 x=−1x=-1 では左辺は8です。範囲内の x=−2x=-2 では32、範囲外の x=0x=0 では2となり、答えの向きも確認できます。

よくある誤解:2−3=−82^{-3}=-8 ではなく 1/81/8 です。au+v=au+ava^{u+v}=a^u+a^v ではなく auava^u a^v です。また 9=3\sqrt{9}=3 と、方程式 z2=9z^2=9 の解 z=±3z=\pm3 は別物です。指数の置換で負の値を許してはいけません。
  1. 底を同じ数の累乗で表せるか調べる。分数の底は負の指数でも書ける。
  2. 置換をするなら t > 0 を書く。二次不等式の解とも必ず共通範囲を取る。
  3. 元の指数へ戻す際に底の増減を確認し、境界と代表値を代入する。
練習:指数計算から置換不等式まで
  1. 272/327^{2/3} と 16−3/416^{-3/4} を求めなさい。

    ヒント

    先に分母の数の累乗根を取り、分子の数だけ累乗する。負の指数は最後に逆数へ。

    解答・解説

    272/3=32=927^{2/3}=3^2=9。16−3/4=2−3=1/816^{-3/4}=2^{-3}=1/8。底が正なので、ここで使う累乗根も正です。

  2. 9x=279^x=27 を解きなさい。

    ヒント

    9と27をどちらも3の累乗で表す。

    解答・解説

    32x=333^{2x}=3^3 より 2x=32x=3、**x=3/2x=3/2**。93/2=(9)3=279^{3/2}=(\sqrt9)^3=27 と検算できます。

  3. 4x−5⋅2x+4≤04^x-5\cdot2^x+4\le0 を解きなさい。

    ヒント

    t=2x>0t=2^x>0 と置き、(t−1)(t−4)(t-1)(t-4) の符号を調べる。

    解答・解説

    (t−1)(t−4)≤0(t-1)(t-4)\le0 より 1≤t≤41\le t\le4。これは t>0t>0 を満たします。1≤2x≤41\le2^x\le4 で底2は増加するので **0≤x≤20\le x\le2**。両端では左辺0、内側の x=1x=1 では 4−10+4=−24-10+4=-2 です。

確認クイズ:条件と向き

問1. t=3xt=3^x と置いたとき、t の範囲はどれですか。

問2. (13)x<(13)2\left(\frac13\right)^x<\left(\frac13\right)^2 の解は?

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