軌跡と領域:逆向きの確認と境界

軌跡を必要十分な条件で記述し、除外点・不等式の共通部分・境界の扱いを確かめる。

この単元の目標
  • 動点の条件を方程式に直し、逆向きの成立まで確認できる
  • 元の条件に戻って、軌跡の範囲と除外点を明示できる
  • 不等式の領域と共通部分を、境界の含まれ方まで説明できる
📑 目次
  1. 1 軌跡は「条件を満たす点の全体」
  2. 2 必要条件・十分条件を区別する
  3. 3 パラメータを消した後にも条件が残る
  4. 4 不等式は線のどちら側かを指定する

1 軌跡は「条件を満たす点の全体」

軌跡とは、ある条件を満たして動く点Pが通る点の集合です。Pの座標を (x,y)(x,y) と置き、距離や位置の条件を式に翻訳します。ただし式が得られただけでは完成ではありません。その式上のすべての点が本当に元の条件を満たすか、逆向きも確かめます。

  1. 順向き:元の条件を満たす点Pなら、導いた方程式・範囲の条件を満たすことを示す。
  2. 逆向き:方程式・範囲の条件を満たす任意の点Pから、元の条件を満たす動点やパラメータを作れることを示す。
  3. 結論:曲線や直線の名前だけでなく、範囲・端点・除外点も付けて答える。

2 必要条件・十分条件を区別する

条件pがqの十分条件とは p⇒qp\Rightarrow q が成り立つこと、pがqの必要条件とは q⇒pq\Rightarrow p が成り立つことです。両方成り立つとき必要十分条件といい、p⇔qp\Leftrightarrow q と書きます。軌跡の式は、元の条件に対して必要十分であることを目指します。

主張確認
x=2x=2 は x2=4x^2=4 の十分条件x=2を代入すれば必ず4になる。
x2=4x^2=4 は x=2x=2 の必要条件x=2なら必要だが、x=−2も許すので十分ではない。
x=2x=2 または x=−2x=-2 は x2=4x^2=4 の必要十分条件実数の範囲では両方向とも成立する。

🔍 2点から等距離の点:変形を両方向に読む

  1. ① 距離の条件
    A(1,0), B(3,2), P(x,y):PA=PBA(1,0),\ B(3,2),\ P(x,y):\quad PA=PB

    A,Bは固定点。Pは平面全体から選び、最初から範囲は制限しない。

  2. ② 非負の距離を2乗する
    PA=PB ⇔ (x−1)2+y2=(x−3)2+(y−2)2PA=PB\ \Leftrightarrow\ (x-1)^2+y^2=(x-3)^2+(y-2)^2

    距離はともに非負なので、2乗した値が等しければ距離も等しい。ここで余分な点は生じない。

  3. ③ 展開・整理して逆向きも確認
    4x+4y−12=0 ⇔ x+y=34x+4y-12=0\ \Leftrightarrow\ x+y=3

    展開・移項は逆にたどれるので、この直線上の任意の点は等距離条件を満たす。中点(2,1)を通り、傾き−1の垂直二等分線で、除外点はない。

3 パラメータを消した後にも条件が残る

例題1 tを消去しても、t≠0は忘れない

実数tが0以外のすべての値を動くとき、点 P(2t+1,t2)P(2t+1,t^2) の軌跡を求めよ。範囲と除外点を明記せよ。

解答・解説

x=2t+1x=2t+1 より t=(x−1)/2t=(x-1)/2。これを y=t2y=t^2 に代入すると y=(x−1)2/4y=(x-1)^2/4。さらに t≠0t\ne0 より x≠1x\ne1。逆に、この放物線上で x≠1x\ne1 の任意の点に t=(x−1)/2t=(x-1)/2 を選べば、tは0でなく元の座標を再現する。したがって軌跡は放物線 y=(x−1)2/4y=(x-1)^2/4 から頂点 (1,0)(1,0) を除いたもの。例えばt=1では(3,1)、t=−1では(−1,1)となり両側を通る。

分母を払う・式を2乗する・パラメータを消去する操作では、定義域の条件が失われることがあります。ただし「途中で分母が0になった点は必ず除外」とも限りません。傾きの式を使えないだけで垂直線が存在する場合もあります。除外するかどうかは、計算上の都合でなく元の問題条件で判断します。

4 不等式は線のどちら側かを指定する

直線 ax+by+c=0ax+by+c=0 は平面を2つの半平面に分けます。ax+by+c>0ax+by+c>0 を満たす側を知るには、境界上にない点を1つ代入します。原点が境界上なら別の点を選びます。y>2x−1y>2x-1 なら直線の上側ですが、yの係数が負の式を変形するときは不等号の反転に注意しましょう。

円の場合、(x−h)2+(y−k)2<r2(x-h)^2+(y-k)^2<r^2 は中心からの距離がr未満、つまり円の内部です。>r2>r^2 は外部です。等号があれば円周も含みます。この内外の説明は半径 r>0r>0 の円を考えていることが前提です。

  • <,><,> はその不等式の境界を含まない。図に描くなら破線で表す。
  • ≤,≥\le,\ge はその不等式の境界を含む。図に描くなら実線で表す。
  • 連立不等式は「かつ」なので領域の共通部分。境界上でも、ほかの条件を満たさない点は含まれない。
  • 「または」で結ぶ条件なら、少なくとも一方を満たす領域の和集合になる。
例題2 円の内部と半平面の共通部分

連立不等式 x2+y2≤4x^2+y^2\le4、y>1y>1 の領域を言葉で説明せよ。直線 y=1y=1 と円周の交点、交点を含むか、円周上の点 (0,2)(0,2) を含むかも答えよ。

解答・解説

原点中心・半径2の円の内部と円周のうち、直線y=1より上の部分。交点は x2+1=4x^2+1=4 より (3,1),(−3,1)(\sqrt3,1),(-\sqrt3,1) だが、y>1を満たさず両方とも含まない。直線y=1上の弦も含まない。一方、円周のうちy>1の弧は含み、(0,2)も 0+4≤40+4\le4 かつ 2>12>1 なので含む。

練習問題:逆向きと境界を確認
  1. A(−2,1),B(4,3)A(-2,1),B(4,3) からの距離が等しい点Pの軌跡を求めよ。逆向きの確認も述べよ。

    ヒント

    距離を2乗し、展開すると2次の項が消える。

    解答・解説

    (x+2)2+(y−1)2=(x−4)2+(y−3)2(x+2)^2+(y-1)^2=(x-4)^2+(y-3)^2 より 12x+4y−20=012x+4y-20=0、すなわち直線 3x+y−5=03x+y-5=0。この直線上なら逆の変形で距離の2乗が等しく、距離は非負なのでPA=PB。よって全直線が軌跡で除外点なし。中点(1,2)も式を満たす。

  2. 実数tが t>0t>0 を動く。A(2,0)A(2,0) と Q(t,t2)Q(t,t^2) の中点Pの軌跡を求めよ。

    ヒント

    x=(2+t)/2x=(2+t)/2、y=t2/2y=t^2/2 と置き、tの範囲もxの条件に直す。

    解答・解説

    t=2x−2t=2x-2 より y=2(x−1)2y=2(x-1)^2、x>1x>1。逆にこの式と範囲を満たす点なら t=2x−2>0t=2x-2>0 で元の中点を再現できる。軌跡は放物線のx>1の部分で、端点(1,0)は含まない。t=2では中点(2,2)となり式を満たす。

  3. x≥0x\ge0、y>0y>0、x+y≤4x+y\le4 の共通領域を説明せよ。境界となる3本の直線の交点を求め、各辺と頂点が含まれるかも述べよ。

    ヒント

    境界はx=0、y=0、x+y=4。各点に3条件をすべて適用する。

    解答・解説

    3交点はO(0,0)、A(4,0)、B(0,4)。領域は三角形OABの内部に、辺OBのOを除いた部分と辺ABのAを除いた部分を加えたもの。辺OAは両端を含め除外。頂点はBだけを含む。例えば(1,1)は内部で全条件を満たし、(2,0)はy>0を満たさない。

確認クイズ

問1. tが0以外の実数全体を動くとき、点 (t,1/t)(t,1/t) の軌跡は?

問2. 実数xについて、x>0x>0 は x>3x>3 であるためのどの条件?

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