弧度法と三角関数

ラジアン、一般角、三角関数のグラフと加法定理。

この単元の目標
  • 弧度法と度数法を相互に換算できる
  • sin・cos のグラフの性質(周期・最大最小)を説明できる
  • 加法定理を使って計算できる
📑 目次
  1. 角度の倍率を、横軸の時間の伸び縮みとして読む
  2. 弧度法
  3. グラフの性質
  4. 加法定理

角度の倍率を、横軸の時間の伸び縮みとして読む

観覧車の高さは一周するたびに繰り返します。一周にかかる時間が半分なら、同じ時間に波が二つ現れます。sinの中のxを2xに置き換えるのは、このように進む角度を2倍速にすることです。

y=A sin(Bx+C)+D(A≠0、B≠0)では、中の角度が2π進むと一周期なので周期は2π/|B|。A≠0のとき振幅は|A|、中央の高さはDです。Bを括り出してB(x+C/B)とすると、横方向のずれは−C/Bと読めます。

三角方程式では、まず中の角度をtと置き、xの範囲からtの範囲も変換します。一周分だけで考えてしまうと、xを何倍かした場合に解を落とします。求めたtを元のxに戻すまでが一組の作業です。

振幅が0なら定数関数になり、最小の正の周期はありません。また角度をラジアンで扱う式に度の数値をそのまま入れないでください。180°はπラジアンです。
例題:波の式から最大最小を読む

y=3 sin(2x−π/2)+1の振幅・周期・最大値・最小値は。

解答・解説

振幅3、周期π、中央の高さ1。sinは−1から1なので最大値4、最小値−2。2(x−π/4)より、y=3 sin(2x)+1を右へπ/4ずらした形です。

例題:二周分の解を拾う

0≤x<2πでsin(2x)=1/2を解け。

解答・解説

t=2xと置くと0≤t<4π。t=π/6,5π/6,13π/6,17π/6なので、x=π/12,5π/12,13π/12,17π/12。範囲内に4個あります。

練習:判断の理由も確かめよう
  1. y=−2 cos(3x)+4の振幅・周期・値の範囲は。

    解答・解説

    振幅2、周期2π/3、2≤y≤6。負号は波を上下反転しますが振幅は正です。

  2. 0≤x<2πでcos x=−1/2を解け。

    解答・解説

    x=2π/3,4π/3。単位円のx座標が−1/2になる第2・第3象限の2点です。

  3. y=sin(x+π/3)はy=sin xをどちらへ動かすか。

    解答・解説

    左へπ/3。x=−π/3で中身が0となるため、原点にあった通過点が左へ移っています。

弧度法

θ[rad]=弧の長さ半径,180∘=π rad\theta [\text{rad}] = \frac{\text{弧の長さ}}{\text{半径}}, \qquad 180^\circ = \pi \text{ rad}
  • 90∘=π290^\circ = \dfrac{\pi}{2}、60∘=π360^\circ = \dfrac{\pi}{3}、45∘=π445^\circ = \dfrac{\pi}{4}、30∘=π630^\circ = \dfrac{\pi}{6}
  • 弧度法なら微積分の公式がきれいになる(数学III で本格使用)

グラフの性質

関数周期最大・最小奇偶
y=sin⁡xy = \sin x2π2\pi1/−11 / -1奇関数(原点対称)
y=cos⁡xy = \cos x2π2\pi1/−11 / -1偶関数(y軸対称)
y=tan⁡xy = \tan xπ\piなし(漸近線)奇関数

加法定理

sin⁡(α±β)=sin⁡αcos⁡β±cos⁡αsin⁡β\sin(\alpha \pm \beta) = \sin\alpha\cos\beta \pm \cos\alpha\sin\beta

🔍 加法定理の導出——同じ弦の長さを2通りで計算

  1. Step 1: 単位円上に2点をとる
    P(cos⁡α,sin⁡α),Q(cos⁡β,sin⁡β)P(\cos\alpha, \sin\alpha), \quad Q(\cos\beta, \sin\beta)

    P と Q の偏角の差は α−β。両点を −β だけ回転しても距離は変わらず、Q は (1,0) に移る。

  2. Step 2: 回転後の座標で距離を計算
    PQ2=(cos⁡(α−β)−1)2+sin⁡2(α−β)=2−2cos⁡(α−β)PQ^2=(\cos(\alpha-\beta)-1)^2+\sin^2(\alpha-\beta)=2-2\cos(\alpha-\beta)

    単位円の恒等式 sin²+cos²=1 で整理する。回転角が一般角でも成り立つ。

  3. Step 3: 座標の差からも PQ² を書く(その2)
    PQ2=(cos⁡α−cos⁡β)2+(sin⁡α−sin⁡β)2=2−2(cos⁡αcos⁡β+sin⁡αsin⁡β)PQ^2=(\cos\alpha-\cos\beta)^2+(\sin\alpha-\sin\beta)^2=2-2(\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta)

    元の座標でも距離を求め、2つの結果を等しいとおく。

  4. Step 4: 余弦の差と和の公式
    cos⁡(α−β)=cos⁡αcos⁡β+sin⁡αsin⁡β\cos(\alpha-\beta)=\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta

    β を −β に置き換え、cos の偶関数性と sin の奇関数性を使うと、余弦の和の公式になる。

  5. Step 5: 正弦の公式へ
    sin⁡(α+β)=cos⁡((π2−α)−β)=sin⁡αcos⁡β+cos⁡αsin⁡β\sin(\alpha+\beta)=\cos\left((\tfrac{\pi}{2}-\alpha)-\beta\right)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta

    単位円からわかる余角の関係 cos(π/2−α)=sin α、sin(π/2−α)=cos α を使う。さらに β を −β にして正弦の差の公式を得る。

cos⁡(α±β)=cos⁡αcos⁡β∓sin⁡αsin⁡β\cos(\alpha \pm \beta) = \cos\alpha\cos\beta \mp \sin\alpha\sin\beta
例題

sin⁡75∘\sin 75^\circ を求めよ。

解答・解説

75=45+3075 = 45 + 30 なので加法定理より sin⁡45cos⁡30+cos⁡45sin⁡30=12⋅32+12⋅12=6+24\sin 45\cos 30 + \cos 45 \sin 30 = \frac{1}{\sqrt{2}} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} + \frac{1}{\sqrt{2}} \cdot \frac{1}{2} = \frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}

練習問題
  1. 2π3\dfrac{2\pi}{3} rad を度数法で表せ。

    解答・解説

    2π3×180π=\dfrac{2\pi}{3} \times \dfrac{180}{\pi} = **120°**

  2. y=2sin⁡x+1y = 2\sin x + 1 の最大値と最小値を求めよ。

    ヒント

    sin⁡x\sin x の範囲は −1≤sin⁡x≤1-1 \le \sin x \le 1

    解答・解説

    最大 **3**(sin⁡x=1\sin x = 1)、最小 **−1-1**(sin⁡x=−1\sin x = -1)

  3. cos⁡15∘\cos 15^\circ を求めよ。

    ヒント

    15=45−3015 = 45 - 30

    解答・解説

    cos⁡45cos⁡30+sin⁡45sin⁡30=6+24\cos 45\cos 30 + \sin 45 \sin 30 = \frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}

確認クイズ(三角関数)

問1. π\pi rad は何度か。

問2. y=cos⁡xy = \cos x はどの対称性をもつか。

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