正規分布と中心極限定理

なぜ世の中に正規分布が多いのか。中心極限定理と大数の法則、区間推定への入口。

この単元の目標
  • 正規分布の密度関数と標準化を扱える
  • 中心極限定理を述べて応用を説明できる
  • 大数の法則と中心極限定理の違いを区別できる

正規分布

f(x)=12π σexp⁡ ⁣(−(x−μ)22σ2)f(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi}\,\sigma} \exp\!\left( -\frac{(x - \mu)^2}{2\sigma^2} \right)

平均 μ\mu、標準偏差 σ\sigma をパラメータにもつ釣り鐘型の分布。μ=0,σ=1\mu = 0, \sigma = 1 に変換することを標準化といい、Z=(X−μ)/σZ = (X - \mu)/\sigma は標準正規分布に従います。「68–95–99.7 則」(±1σ に約 68%、±2σ に約 95%)は実務上の目安として重要です。

中心極限定理(CLT)

Xˉn=1n∑i=1nXi,n(Xˉn−μ)σ→dN(0,1)\bar X_n=\frac1n\sum_{i=1}^nX_i,\qquad \frac{\sqrt n(\bar X_n-\mu)}{\sigma}\xrightarrow{d}N(0,1)

独立同分布の標本で、平均 μ\mu と分散 0<σ2<∞0<\sigma^2<\infty をもつとき、標本平均は十分大きな n で近似的に正規分布に従う——これが統計的推測の土台です。母集団の分布を知らなくても「平均 ± 誤差」の区間推定や検定ができるのは CLT のおかげです。

  • 大数の法則:n→∞n \to \infty で標本平均が μ\mu に「ほぼ一致していく」(収束の話)
  • 中心極限定理:揺らぎ Xˉn−μ\bar X_n-\mu を標準誤差 σ/n\sigma/\sqrt n で割った量の分布が標準正規分布に近づく(分布の形の話)
  • 誤差は 1/n1/\sqrt{n} でしか減らない——精度を 10 倍にするにはデータを 100 倍に
二項分布 B(n,p)B(n, p) は np(1−p)≥10np(1-p) \ge 10 程度なら正規分布 N(np,np(1−p))N(np, np(1-p)) で近似できます(ド・モアブル=ラプラスの定理)。試験問題でも頻出の近似です。
例題

サイコロを 900 回投げたとき、出目の合計が 3000 を超える確率は概ねどの程度か。(E[X]=3.5E[X] = 3.5, V[X]=35/12V[X] = 35/12)

解答・解説

独立に投げた公平なサイコロの合計 SS は近似的に N(900×3.5,  900×35/12)=N(3150,2625)N(900 \times 3.5,\; 900 \times 35/12) = N(3150, 2625) に従う。z=(3000−3150)/2625≈−2.93z = (3000 - 3150) / \sqrt{2625} \approx -2.93 より **約 99.8%** で 3000 を超える

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