常微分方程式——変化の法則を解く

分離変数・線形方程式から、現象を記述する微分方程式を読む。

この単元の目標
  • 変数分離形と一次線形微分方程式を解ける
  • 減衰振動や人口増加など、モデルとの対応を説明できる
📑 目次
  1. 微分方程式とは
  2. 変数分離形
  3. 一次線形(積分因子)

微分方程式とは

未知関数の導関数を含む方程式。「今の状態が、この先どう変化するか」を直接書いたものです。物理・化学・経済・疫学のほぼすべてがここに落ちます。

変数分離形

dydx=f(x)g(y)  ⇒  ∫dyg(y)=∫f(x) dx\frac{dy}{dx} = f(x)g(y) \;\Rightarrow\; \int \frac{dy}{g(y)} = \int f(x)\,dx
変数分離で g(y)g(y) で割るのは g(y)≠0g(y)\ne0 の区間だけです。g(c)=0g(c)=0 なら定数解 y(x)=cy(x)=c があるので、先に取り出しておきます。例えば y′=xyy^{\prime}=xy で y を割ると y=0y=0 が見えなくなりますが、最終形 y=Aex2/2y=Ae^{x^2/2} に A=0A=0 を含めれば回収できます。

🔍 変数分離はなぜ「dy と dx を分ける」ことで解けるのか

  1. Step 1: 元の方程式
    dydx=f(x)g(y)\frac{dy}{dx} = f(x)g(y)
  2. Step 2: g(y) で割る
    1g(y)dydx=f(x)\frac{1}{g(y)}\frac{dy}{dx} = f(x)

    左辺は合成関数の微分の形になっていることに注目する。

  3. Step 3: 合成関数の微分として認識
    ddx[G(y(x))]=f(x)(G′(y)=1/g(y))\frac{d}{dx}\left[ G(y(x)) \right] = f(x) \quad (G'(y) = 1/g(y))

    G を 1/g の原始関数とすると、左辺はまさに連鎖律による微分。ここが核心です。

  4. Step 4: 両辺を x で積分
    G(y)=∫f(x) dx+C⟺∫dyg(y)=∫f(x) dxG(y) = \int f(x)\,dx + C \quad\Longleftrightarrow\quad \int \frac{dy}{g(y)} = \int f(x)\,dx

    形式的に「dy と dx を分けてそれぞれ積分」した形と一致する。だから分離変数は正当な手続きです。

例題(放射壊変)

λ>0\lambda>0、N(0)=N0>0N(0)=N_0>0 として dNdt=−λN\dfrac{dN}{dt}=-\lambda N を解け。

解答・解説

dNN=−λdt\dfrac{dN}{N}=-\lambda dt を積分して ln⁡N=−λt+C\ln N=-\lambda t+C。初期値より N(t)=N0e−λtN(t)=N_0e^{-\lambda t}。N(t)/N0=1/2N(t)/N_0=1/2 を解くと半減期は t1/2=ln⁡2/λt_{1/2}=\ln2/\lambda。なお N0=0N_0=0 なら定数解 N=0N=0 となる。

一次線形(積分因子)

dydx+P(x)y=Q(x)  ⇒  y=e−∫P(∫Qe∫Pdx+C)\frac{dy}{dx} + P(x)y = Q(x) \;\Rightarrow\; y = e^{-\int P}\left( \int Q e^{\int P} dx + C \right)
  • RC回路: Rdqdt+qC=VR\dfrac{dq}{dt} + \dfrac{q}{C} = V → 時定数 τ=RC\tau = RC で充電曲線が決まる
  • ロジスティック方程式: N˙=rN(1−N/K)\dot N = rN(1 - N/K) → 環境収容力 K へ飽和する増加
  • 減衰振動: mx¨+cx˙+kx=0m\ddot x + c\dot x + kx = 0 → 摩擦のあるバネ。過減衰・臨界・不足減衰に分類
練習問題
  1. dydx=xy\dfrac{dy}{dx} = xy を解け。

    ヒント

    変数分離。

    解答・解説

    dyy=x dx\dfrac{dy}{y} = x\,dx → ln⁡∣y∣=x22+C\ln|y| = \dfrac{x^2}{2} + C → y=Aex2/2y = Ae^{x^2/2}

  2. 半減期 8 日の物質の壊変定数 λ を求めよ。

    解答・解説

    λ=ln⁡28≈\lambda = \dfrac{\ln 2}{8} \approx **0.0866 /日**

  3. ロジスティック方程式で N ≪ K のときの増殖のようすを述べよ。

    ヒント

    (1−N/K)≈1(1-N/K) \approx 1。

    解答・解説

    N˙≈rN\dot N \approx rN となり、**初期は指数関数的増加**。K に近づくと速度が 0 に向かい飽和する。

確認クイズ(微分方程式)

問1. 放射性物質の量は時間とともにどう減るか。

問2. RC回路の時定数 τ = RC は何を表すか。

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